ワイヤー放電加工とは?

製造業の基礎

ワイヤー放電加工とは?

ワイヤー放電加工 をご存知でしょうか?
ワイヤー放電加工は簡単に言うと、 ワイヤーを放電させ、その熱によって素材を切断する技術 です。

ワイヤ放電による加工
画像引用: ブローチ研削工業所様

熱を利用した仕組みの加工法は、他にもレーザー加工があります。
レーザー加工は光の熱を利用するのに対し、ワイヤー放電加工は電気の熱を利用します。
ワイヤー放電加工の場合、ブロック材の加工に利用されることが多いようですが、金属板のカットや穴あけにもよく利用されます。
ワイヤー放電加工で加工される金属の材質は、鉄やステンレス、銅、アルミ、真鍮などです。

ワイヤ放電加工で使われる機械と仕組み

例えば電気がショートした場合、バチンと放電が発生します。
この熱によって近くのものが溶けたり燃えたりすることがありますが、これと同じ仕組みで鉄などの硬いものを加工します。
ワイヤー放電加工の仕組みは1940年代に旧ソ連で発明され、研究が重ねられた後実用に至りました。

ワイヤー放電加工には ワイヤー放電加工機 と呼ばれる機械を使います。
ワイヤ放電加工機
画像引用: 福井大学工学部 先端科学技術育成センター様
ワイヤー放電加工機には細いワイヤーがついていて、ワイヤーと素材間で放電させながら加工を行います。
ワイヤ放電
画像引用: 大阪電気通信大学 3D造形先端加工センター様

ワイヤーを用いた放電の仕組み

加工を行う際ワイヤーに電気を流します。
ワイヤーと加工するもの(ワーク)が接していない際は、通常ではワークには電気は流れません。
(電気が流れやすい物質を介して間接的に接している場合は除きます。)

ところが、ワイヤーとワークの距離を近づけていくと、ワイヤーとワークが接していなくてもワイヤーとワーク間に電子の通り道ができ電気が流れます。

このワイヤーとワーク間にできた通り道は電気抵抗が高く、高温と光を伴って電気が流れます。
放電
画像引用: 有限会社 倉敷システムデザイン様

ワイヤー放電加工機での加工

加工機ではワイヤーと加工するもの(ワーク)の間を絶縁性の高い純水や油で浸します。

前述の通り、電気が流れた状態でワイヤーがワークと近づくと、放電が起こりワイヤーとワーク間の電気の通り道で高熱が発生します。
高熱はワークを溶かすと共に、電気の通り道にある液体を爆発的に蒸発させて溶け出した金属を飛ばします。

ワイヤ放電加工
画像引用: 東京大学 国枝研究室様

加工機では、一定時間ごとに電流が流れていて(加工電源によるパルス電流)、電流の流れない間に液体が流れてくるため、削られた部分が流されると同時に冷却されます。
上記のサイクルは1秒間に数十万回繰り返されます。

加工機の方式として、純水または油といった加工液を貯めた水槽のようなところで加工を行う 浸漬式 (通称:ドブ漬け式)とノズルからワイヤーに沿って液を吹きかける 吹き掛け式 があります。
浸漬式は安定して加工液を供給できるため、複雑な製品形状の加工に向いています。

純水を加工液として使用すると放電が安定し効率よくスピードのあるカットができます。
油を加工液として使用した場合は、サビにくい加工面に仕上げるというメリットがあります。

ワイヤー放電加工機の種類は様々ですが、主にワイヤー線を機械の上下でつないだ状態で加工するので、端から加工できない形状のものは、一度穴をあけてそこにワイヤーを通す必要があります。
また、2つ以上の穴から加工を行う必要がある場合、ワイヤー線を切断してから、再度線を繋ぎます。

今では、 自動結線装置 と呼ばれる装置によって、次の穴での結線が自動で行われます。
しかし、微細な穴に線を通す場合は、接続ミスが起きることがあります。

引用: YouTube 富士エンジニアリング株式会社様

ワイヤー線の材質

ワイヤー線の材質には、真鍮やタングステン、モリブデン、鉄芯コーティングなどが使われ ていて、太さはたくさんの種類があります。
タングステン線は真鍮ワイヤーより張る力が数倍強いため、極細線として細かな部品の加工に使用されています。
これらのワイヤー線は通常1回の使い切りの消耗品となっていますが、精密度を問わないカットの場合は再利用することもあります。

ワイヤー放電加工機のメーカー

ワイヤー放電加工機のメーカーは日本や海外などいくつかの会社があります。
世界で初めてワイヤー放電加工機を作ったスイスにある会社では、放電加工機やマシニングセンタ、レーザー加工機の製造販売を行っていて、ワイヤー放電加工と形彫り放電加工の両方の機械を作っています。
日本の会社でも大手機械メーカーや専門企業がこのワイヤー放電加工機を製造販売していて、日本の生産業の分野でこれらの加工機が活躍しています。

ワイヤー放電加工の特徴

ワイヤー放電加工を用いて作られる身近な製品としては、携帯電話の金属部や家電製品の部品などが挙げられます。
この他にも、航空機部品や刃物、模型や家の表札など、人の生活に密接に関わっている製品が作られています。

ワイヤー放電加工は極端に細い切り出しや細長い形状の切り出し を行うのに向いています。
放電加工は熱を利用しますが、常に水または油で冷却し続けているので瞬間的なものです。
そのため、素材が熱で大きく変形する心配はありません。
それに加えてワイヤー放電加工は非接触加工であるため、ワイヤー電極は放電させるのみで材料には接触しません。
摩擦がなく、薄すぎて加工が困難な薄型金属も容易に加工できます。

また、原理的にはどんなに硬い素材でも、電気さえ通せれば加工が可能です。
緻密な作業を得意としつつ、材料の硬さに左右されない加工ができる点 が、ワイヤー放電加工の大きな特徴です。

焼入れ加工や0.1ミリくらいの細かな加工において、放電加工にしかできない技術がありこの分野において強みを持っています。

デメリットを挙げるならば、量産を目的とした制作は不向きである点です。
加工精度は非常に高いのですが、その分加工速度が遅くなってしまいます。

最後に

以上でワイヤー放電加工についての説明は終わりです。
ワイヤー放電加工のイメージが付いた方がいらっしゃいましたら、幸いです!

Fabit編集部

Fabit編集部

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当メディアは製造業にスポットライトを当てて、今まで交わることのなかった工場と工場、工場とヒトが交わることにより、新しいイノベーションの芽が生まれることを目指しています。

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