板金加工とは何か?

製造業の基礎

板金加工とは何か?

板金加工 と聞いて、あなたはどんなことをイメージしますか?

工場で鉄を叩いたり、曲げたり、溶接したりすること?

事故で凹んでしまった自動車のボディーを修理してくれるところ?

頑固な親父さんがやっている下町の板金屋さん?

今回は、知っているようで実はあまり知らない、板金加工についてご紹介します。

(Fabitの姉妹サイトMitsuriでは、「ゼロからわかる!板金加工!」という連載を行っています。こちらもぜひ見てみてください。)

板金加工とは

一般的に板金加工とは、鉄やアルミ、ステンレスなどの金属の板を切ったり、曲げたり、溶接したりして製品にする加工方法を指します。

板金加工という言葉は、使う人によって、指す意味が変わります。
例えば、専用の金型を使い圧力を掛けて変形させるプレス加工を別物として扱ったり、手作業のもののみを板金加工と呼んでいたりします。
この記事では全体感を持ちたいということで広い意味で使います。
薄い板状の金属を人、機械、金型を問わず、叩いたり、圧力を掛けたり、目的の形に変形させる技術について取り扱います。
また、付随する熱処理など関連技術についても紹介します。

広く捉えることで、板金加工をよりシンプルに捉えることができます。

薄い金属板を変形させて目的物を作るにはどうすればいいか、念頭に置けばいいからです。

板金加工業者の分類

街中にはいわゆる「板金屋」と呼ばれる業者が看板を掲げていますが、すべての板金加工業者が同じものを作っているわけではありません。どんな技術を用いてどんな製品を作るのか、どれくらいの数量を作るのかによって、板金加工業者の特色は異なります。

たとえば自動車のボディーのキズやヘコミを修理するのが得意な業者、住宅や店舗などの内外装仕上げが得意な業者、スマートフォンなどの精密機器のパーツを大量に生産するのが得意な業者など、ひとくちに板金と言ってもジャンルは多岐にわたるのです。

板金加工のジャンル

板金加工は用途・目的別に次の3つのジャンルに分けることができます。

自動車板金
建築板金
工場板金

それぞれどのような特徴があるのか、どんな製品を作っているのか、簡単に見ていきましょう。

自動車板金

自動車製作の際に、試作やクラシックモデルなどの製作で手板金を行うことがありますが、
自動車板金というと多くは自動車のボディーのキズやヘコミを修理することを指します。

事故や老朽化などで変形してしまった自動車のボディーを内側から叩いて元の形状に戻し、パテなどで細かい凹凸を埋めて仕上げます。

自動車のボディーは曲面が多いため、元の形状に戻すためには職人の高い技術力が求められます。

YouTube BOLD様

建築板金

金属板を使って、建物の内装・外装に利用する建築用板金製品を加工する技術です。

おもに建物の屋根・外壁・雨といなどの外装、ダクト・工芸品などの内装に至るまで、住宅や店舗にかかわる製品を製造し、なおかつ所定の箇所に取り付ける工事もおこないます。

建築板金は、鉄・アルミ・ステンレスなど多種多様な金属の特性を熟知し、用途に合わせて正確に加工する高度な専門技術、建築物の外観を損なわないような美的センスと繊細な技術が求められます。

YouTube Kaoru Endou様

工場板金

スマートフォン、パソコン、家電製品と言った、わたしたちが日常的に使用している多くの製品が作られます。

加工方法については プレス加工精密板金加工 の2つに大別できます。

プレス加工 は製造する製品独自の金型を使用して大量生産をする工法で、大小さまざまな製品に活用することができる汎用的な工法です。

精密板金加工 は比較的薄い金属板をあらゆる用途に合わせて加工する工法で、ひじょうに高い寸法精度と処理の美しさが求められます。

板金加工の原理と使われる金属の一般的な特徴

金属は力を加えると変形します。ただし、金属原子間の結合力により元に戻ろうとする性質があるため、加えた力が小さいときは力を除いた後、元の形に戻ります。
加えた力が大きい時は、原子間が元に戻れる距離でなく、元に戻りません。
元に戻ろうとする変形を弾性変形、元に戻れない状況の変形を塑性変形と言います。

板金加工では塑性変形を利用して製品の形状を整えていきます。
実際には力を加えるだけで、求める形状に仕上げるのは難しいため、金型や当て金を使用し、必要以上の力を加えて型に合う形に仕上げます。
その際、必要以上の力は残留応力として製品内に残ります。
熱処理を施すことでこの力を除去することができます。

板金に関わらず、金属を加工するときは
熱を加えて溶かしてから型に流し込む鋳造と、熱や圧力で変形させる鍛造や板金といった工法に分けることができます。

金属によって、鋳造向きか鍛造、板金に向いているかなど変わってきます。
主な要素は、金属の結晶構造にあります。

結晶構造
画像引用: 株式会社 仁張工作所様

この構造が違うとすべり面と呼ばれる金属の動きやすい方向の数が違っており、変形しやすさに違いが生まれます。
面心立法材料…原子は面で詰まっている。結晶格子はマッチ箱構造で変形しやすい。アルミや銅、金のように箔の状態にまで。
体心立方材料…結晶格子の重心に原子が入っていて、やや変形しにくい。
正方格子材料…結晶格子の重心に原子が入っているが、体心立方材料と比較して、原子間の距離が長い部分があり、変形が起こりやすい
稠密(ちゅうみつ)立方格子材料…変形が難しい。

金属の結晶構造は温度によって変わることがあります。
鉄などを熱して変形させることがあるのはこのためです。
また、変形が難しい構造の場合、やはり温度が高い方が変形しやすくなるため、熱しての加工を行います。

変形が難しければ難しいほど、鋳造などで液体にしてからの加工が用いられます。

また、板金加工の際には加工硬化と呼ばれる現象も重要になります。
金属で塑性変形が起こると金属の組織に歪みができて、動きにくい部分ができることがあります。
この部分は硬くなりますが、多くは伸びにくくなります。
加工した際に硬くなることを加工硬化と呼びます。

素材によって、加工硬化の具合が変わり、伸びや強度の点で向き不向きがあります。

板金加工の分類と工程

板金加工は、主に手板金加工と機械板金加工に分類できます。
手板金加工は、ハンマーなどの工具を用い人の力で変形を起こし加工していきます。
機械板金加工は、型を用いて機械的な力で金属板を型に抑えこむことで加工します。

わかりやすさのため、板金加工の工程を簡単にいうと
1.大きな板から必要な材料を切り出す
2.曲げたり、叩くことで変形させる、穴あけをする
3.部品同士をくっつける
という流れになります。

より詳細に言えば、板金加工の工程は設計からはじまり、金属板の切断、穴あけなどを製品の輪郭を形成するブランク加工、平らな金属板を折り曲げていくベンダー加工、部材と部材を溶接や接着を行う接合加工と続き、仕上げに塗装やめっきなどの表面処理を施して製品を完成させます。
また、板金加工に限った話ではありませんが、工程上バリと呼ばれる、品質を落とし作業上危険を及ぼす部分が発生します。
随時バリ取りと呼ばれる作業が発生します。

ブランク加工からベンダー加工までを一つの金型で行うプレス加工も板金加工ではよくある製造工程です。

実際には、小さな製品を作るときには、1と2が逆になることがあります。
また、一つの部品で製品が完成しない場合、3の部品同士をくっつける工程が発生します。

3の部品同士をくっつける工程については、人の手によって、行われることが多いので、
まずは、1と2について、手板金加工と機械板金加工、それぞれについて見ていきます。

手板金加工

手板金加工は、従来から行われている加工ですが、
工芸品、試作品、補修作業、建築用途で用いられることが多く製品の加工の際への利用に対しては限定的になってきています。

1.大きな板から必要な材料を切り出す

金属材料を仕入れたとき、加工に適した大きさになっているわけではありません。

製品を成型するのに適した形状を切り出すため、手板金加工では金切りバサミや金切りノコが用いられます。

引用: YouTube 学研キッズネット様

切り出す大きさや厚さによっては、後述するシャーなどによっても、切断を行います。
切断後の、加工を行うための余白部分を含めてブランク材と言います。

切断に関わらず、加工の際には金属板に切断面や穴あけの場所を描きます。
ケガキ工具と呼ばれる、金属板に書き入れるための工具を用います。

ケガキ針

金属の表面に傷や目印をつけて、寸法などを書き入れる工具です。
先端が硬く、硬い材質に線を描くことができます。
ペン型など、様々な形状があります。
ケガキ針
画像引用: アートの現場の情報サイト『アート×現場』様

ケガキコンパス

ケガキコンパス
画像引用: アートの現場の情報サイト『アート×現場』様

ポンチ

穴の中心となる場所に目印となる「くぼみ」をつける工具です。
ポンチ
引用:ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典 ポンチ (工具)

金属を切り出した後、微細な突起(バリ)が発生するため、これを取り除く作業を行います。

2.曲げたり、叩くことで変形させる、穴あけをする

手板金加工で変形させる場合、ハンマーと当て金を使用します。

当て金1
当て金2

画像引用:
鍛金工房 渓壽庵様
アートの現場の情報サイト『アート×現場』様

ハンマーは木製のものと金属製に分かれます。
木製ハンマーは一回に叩いた当たりの変化量が小さい代わりに、加工硬化も小さくなります。
どちらのハンマーについても成形する形状に合わせて先端部分を加工したハンマーを使用します。

金属板と、当て金の当り具合やハンマーを打つ場所によって変形の仕方が変わります。

YouTube 燕三条こうばのじてん様

絞り加工と張出し(打出し)加工

材料を伸ばしていくことによって必要な形状に整えていく加工を張出し(打出し)加工と言います。
材料の一部を寄せていって、形状を整えていく加工を絞り加工と言います。

張出し加工では、金属を伸ばしていくため、伸ばしただけ、薄くなります。一方、絞り加工では金属を寄せるため、薄くなりにくいところが特徴になります。
似て見える加工法ですが、金属の外周が固定されているかどうかで判断しやすくなります。

絞りと張出し
画像引用: 一般社団法人日本金属プレス工業協会様

曲げ加工

金属を曲げる加工方法には、予め材料に曲げる線を引きでその線に沿って力を加えることで材料を曲げる 突き曲げ 、曲げる線ではないところに力を加えて曲げる 折り曲げ 、3つのローラーを使い面がローラーを通ることで折り曲げる 送り曲げ など様々な曲げ方が存在します。

手板金加工では、突き曲げと折り曲げを組み合わせて、曲げ加工を行います。
短い長さの直線的な曲げには 影タガネ (かげたがね)を使います。

影タガネ
影タガネ2

画像引用: 厚生労働省 技のとびら
画像引用: 株式会社MonotaRO様

長い長さの直線的な曲げについては、折り台と打ち木(拍子木)を使って行います。

打ち木
打ち木2

引用:「知恵の輪」様

なめらかな曲面を出す際は、パイプや丸棒を添えて、手やハンマー、打ち木を使い変形を行います。

曲面曲げ

画像引用: 厚生労働省 技のとびら

機械板金加工

機械板金加工については、これまでも、自動車、電機製品などの部品材として製作されてきました。
後述しますが、製法の工夫や機械の高機能化により、板金の活用分野が広がっています。
機械板金は、プレス加工と精密板金加工に大別されます。
精密板金加工は作業者のカンやコツが機械操作に大きく関わる分野です。
精密板金加工でもプレス機器は使いますが、金型が専用のものではなく、汎用の金型を使って成形していきます。

プレス加工は、製品ごとに専用の金型を用い、繰り返し、加工を行う場合に有効となります。
オーディオ製品の筐体や自動車のボディやパーツに使われています。

プレス加工1
プレス加工2
プレス加工3

引用: タイテック マツダ様

引用: ヤマセイ株式会社様

精密板金加工は専用の金型は用いず、汎用金型を組み合わせ、様々な製品に対応します。
多品種小ロットの生産に向いています。
医薬品・食品のタンクなどの大型筐体や小型のものでは金型費をかけるほどではないロット数の部品材を作るときに強みを発揮します。

精密板金部品
食品用タンク

画像引用: 株式会社 都留様
画像引用: 株式会社シーラックス様

1.大きな板から必要な材料を切り出す

金属板を直線で切り分ける際は、シャーリングマシン(シャー切断機)かレーザー加工機を用います。

シャーリングマシンを用いる加工をシャーリング加工(せん断加工)と言います。
このマシンには、材料を切断する為の巨大な刃が2枚、上下についています。
下の刃は固定されていて、上の刃が上下することによって、切断作業が行われます。

引用: YouTube 株式会社 仁張工作所様

こちらの動画内にある、パネルでは、金属材料や板圧、切断幅に併せて、入力を行います。
寸法を合わせ、切断面にできるバリなど不都合な部分を最小減に抑えるためです。

レーザーによる切断では、一直線での切断に限りません。
高速度で高精度の切断、溶接が可能になります。

引用: YouTube 豊川鋼機株式会社様

バリが発生しにくいのですが、一方でレーザー照射を長時間続けることによって金属が溶け裏面にドロスと呼ばれる付着物が発生します。
アシストガス と呼ばれるガスを切断部分に吹き付けることで、金属片やドロスを除去します。
アシストガスは切断材料や求められる品質にあわせて使われます。
酸化する際の熱を利用することで、切断性を上げたい場合は酸素を使います。
酸化による品質低下を避けたい場合は空気や窒素を使います。
また、高品質の切断には特殊混合ガスを使います。
レーザー切断
引用: 一般社団法人 日本溶接協会様

次項以降にも関わることですが、切断や変形を行なったあと、機械板金でもバリや仕上げのためにバリ取りと言われる作業が行われます。

2.曲げたり、叩くことで変形させる、穴あけをする

穴や型を抜いたり、溝を作るにはパンチプレスと呼ばれる機械を使います。
穴を開けたり、型を用いて抜くことをパンチングといいます。

パンチプレスは汎用の金型を用い、加工する形状に併せて都度選択して加工を行います。
汎用の金型では、型にあった穴を抜く、圧力を掛けて溝や容器状の成形、不要な部分を切断するといったことを行います。

汎用の金型の使い型を工夫することで、汎用金型であっても複雑な形状の型抜きを行うことができます。

パンチプレスは、多数の金型が回転盤に取り付けられ、回転盤を回転させることで加工の金型を選択するものと金型を都度取り変えて加工を行う2つの方式があります。
前者はタレットパンチプレス、後者はシングルヘッドパンチプレスと言います。

引用: YouTube 株式会社タカチ電機工業様

曲げを行う際には、ベンディングマシン(ベンダ、ベンダー)やプレスブレーキを使います。
ベンダやプレスブレーキの機器については、似たような機能を持つこともあるため、はっきり用語の使い分けが行われないこともあります。
直線的に決まった角度を出す機器は、プレスブレーキと呼ぶことが多く、ロールなどを用いて徐々に曲面を出していく、もしくは曲げの修正や管材の切断などその他曲げに関わる機械についてはベンディングマシンと呼ぶことが多くなっています。

引用: YouTube Felix Dominguez様

金型やパンチの形状でいろんな曲げ方ができます。
金型にきっちり金属が付くまで押しこむ方法をコイニング法、金型にきっちりと密着させない方法をエアベンド法と言います。
コイニングは角度がでやすいですが、傷がつきやすいため、エアベンドを採用することが多くなっています。

圧力の掛け方

曲げや絞り加工など金属を変形させる際には圧力を加えますが、圧力の掛け方にも代表的な方式が2つあります。 1つは機械式と呼ばれます。 金型同士や、金型とパンチを介して、機械的に圧力を掛ける方式です。 生産性が高く、広く用いられています。 欠点としては、押しこんだ際に押しこむ型と接触している金属には摩擦が起こり、動きに制約があるため、部分部分で伸び縮みの力の掛かり方が違います。 そのため、伸びの力が強くかかった場所で破断が起こりやすくなります。 そこで、液圧式と呼ばれる方式が開発されています。 引用: フジイコーポレーション株式会社様 金型に押し込む際に、水や油など液体を用いて圧力を掛けます。 液体を用いることで均等に力が掛かるため、機械式に比べて破断が起こりにくく、機械式では実現できない加工が可能になります。 また、金型も減らすこともできます。

簡単のため、最初の説明では、金属板を一製品ごとに板を切り出すかの如く説明していました。
金属板から製品を切り出すタイミングは大きな製品を作るか、小さな製品を作るかで変わってきます。
小さい部品を作る際には、1枚の板から多数のブランク材を切り出します。
数カ所の切り残し部分を除き、全ての成形加工を終えてから一製品ごとの切り出しを行うことが多くなります。

ここまでで、板金加工における部品の成形について、手板金加工と汎用金型を用いた機械板金加工について見てきました。
専用金型を用いたプレス加工については、説明していないため、プレス加工について説明します。

専用金型を用いたプレス加工

大量に製品を作る場合、生産性の高さから専用金型を製作した方が生産コストが安くなることがあります。
専用の金型を用いたプレス加工では、製品の加工ではなく、金型の設計や加工などに経験が必要とされます。

専用金型を用いたプレス加工の流れについて見ていきましょう。

プレス加工では、複数の成形加工が一挙に行われます。
ただし、一度のプレスでは無理な成形が存在することも多く、その際は複数回プレスを掛けて成形を行う必要があります。

この複数回プレスを施す方法には、方式がいくつかあります。
代表的な方法を紹介します。

順送プレス

順送りプレス、プログレ、progressive die working、PRGと呼ばれたりもします。
コイル状に巻かれた金属板を板としてつながったまま、一つのプレス機械で一つの金型を用いて各工程の加工を行う方式です。
金型には、各工程で行われる加工に必要な型が等間隔でずらして彫り込まれているため、結果として一つの金型として複数工程のプレスが行えるようになっています。
製品の切り出しは複数工程全て終わったときに行われ、それまでは板として繋がっています。
一回のプレスごとに金属板を送り出します。
プレスの度に金属板を送るだけで製品ができあがるため、生産効率のよい方式と言えます。
反面、金型が複雑で金型作成費用が高く、大型化が難しいデメリットもあります。
また、絞り加工などで外形が大きく変形する場合は向いていません。

引用: YouTube caroc32様

トランスファープレス

transfer working、 TRFとも呼ばれます。
順送プレスでは、一つの金型に複数工程で行われる加工の型が彫り込まれていました。
一工程につき一つの金型を用い、複数の金型を一つのプレス機にセッティングします。

トランファープレスは、切り出しを最初に行います。
切りだされたブランク材は、工程が終わるごとにフィンガーと呼ばれる爪の付いた部分で掴まれます。
そして同タイミングで次の工程に運ばれます。
順送プレスより効率は落ちるとは言われていますが、それでも効率がよいです。
順送プレスと比べて、ブランク材が切り出されているため、絞り加工など、外形が大きく変形する場合でも加工を行うことができます。

引用: YouTube 山城金属株式会社様

タンデムプレス

tandem press line working、TDMと呼ばれたりもします。
一工程つきに一つの金型、一つのプレス機を用意します。これらを並べて、プレスを同時間間隔で順次行います。
製品の搬送は人の手による場合と機械で自動で行う場合2つともあります。

一工程ごとのため、臨機応変な対応がしやすく、小ロットの場合や大型製品の製造に向きます。
後述のサーボプレス機の恩恵を受けやすい方式と言えます。

引用: YouTube アイダエンジニアリング株式会社様

サーボプレスとは

サーボモータと呼ばれる自動制御を行えるモータを用いてプレスを行います。 利点としては、加圧時や型に押し込んでいないときの速度を変えられるため、生産性高く、かつ、製品や金型に過度の負担をかけないで製造が行うことができます。

プレス加工についての説明をはさみ、少々加工の工程について脱線しました。
ここまでは、板金加工の工程の
1.大きな板から必要な材料を切り出す
2.曲げたり、叩くことで変形させる、穴あけをする
3.部品同士をくっつける

の2まで説明しました。
製品の製造を行う場合、単品での加工に留まらないことがあります。
それでは、3の接合加工について見ていきましょう。

接合加工

3.部品同士をくっつける

部品を組み立てるときは、接合を行います。
部品同士をつなぐ際、ボルトやねじなど機械的に接続する、溶接など金属の特徴を活かしてくっつける、接着剤を用いて接続するなど方法がいくつかあります。

主な分類として
1.機械的接合法
2.冶金的接合法
3.接着的接合法
に分けられます。

1.機械的接合法

ボルトやネジを使い、部品同士を繋げます。
ボルトやネジなどの締結用部品を使うことで、強度が確実に得られ、解体も簡単に行うことができ、リサイクル性も向上します。
一方で、部品に穴を開ける加工が必要になる、重量が重くなるなど製作時間長くなります。
そこで、塑性変形を利用したカシメと呼ばれる工法が用いられます。
金属板を合わせ、外れにくい形に変形させたり、リベットと呼ばれる杭のような部品を打ち込んで変形させることにより、外れない構造を作ります。


カシメ

リベット

画像引用: 株式会社アスター様

画像引用: 日本電気化学株式会社様

2.冶金的接合法

溶接による接合がこれにあたります。
溶接の利点は、接合させる部分の形状に制約を受けにくいという点で自由度が高く、強固な接合が瞬時に行える、比較的気密性を得やすいことです。
欠点としては、溶接時の熱で材質の変化をもたらすことがあり、塗装やめっきなどに期待される防錆などの機能を失わせてしまう、変形させてしまうことが問題になります。また、強固な接合で解体が難しいため、リサイクル性が低くなります。

溶接には高熱が必要になりますが、熱源にはガスやアーク放電、通電、レーザーによる熱が使われます。
それぞれ、ガス溶接、アーク溶接、抵抗溶接、レーザー溶接と呼ばれます。

熱を発生させて、直接部品同士を熱で溶融させる場合と溶かした金属を部品以外からも供給する方法があります。

アーク溶接は、アーク放電を熱源として、金属を溶かし接合します。
下記の方法では、溶加棒を用いて、溶加棒の金属を溶かし部品間に流し込んでいます。
アーク溶接
画像引用: 社団法人 日本溶接協会様

高温になった金属が酸化するのを防ぐため、加工を補助するため噴射する気体であるシールドガスに不活性ガス(イナー卜ガス)を用いたり、フラックスと呼ばれる粉末状の還元剤等を含んだ材料が用いられます。
シールドガスには、不活性ガスのような酸化を防ぐガス以外にも、熱を発しやすく溶融を手助けする酸化性ガスを用いたものがあり、特に後者の場合に酸化分を見こして、還元剤が入っているフラックスを併用します。

アーク放電には様々な方法があり、電極が溶けるもの(消耗電極式)、溶けないもの(非消耗電極式)、使われるガスなどによって名称が分かれます。

代表的なアーク溶接には、
溶けないタングステン製の電極を用いたティグ溶接(Tig溶接)、更にプラズマガスを使うことで効率を上げたプラズマ溶接、フラックス入りの溶ける電極に酸化性ガスを用い燃焼性を高めたマグ溶接(MAG溶接)、溶ける電極に不活性ガスを用い酸化を防ぐミグ溶接(MIG溶接)などがあげられます。

溶接では、部品自身または、部品と同じか近い金属が接合に用いられます。
接合部分の金属と違う金属も用いる場合は、ろう接と呼ばれます。

ろう接に用いられる材料はろう材と呼ばれ、溶融温度により、軟ろう材、硬ろう材、と呼び分けられます。
前者は加工しやすく、低温度で溶けるため、他の金属部分を溶かしません。
はんだが軟ろう材にあたり、はんだ付けを軟ろう付けとも呼びます。

後者は接合強度が求められる場合に使われます。
材料として銀やニッケル、黄銅などが用いられます。

3.接着的接合法

接着剤を用いることにより、接合を行います。
接着剤を用いることで、多用な材質の組み合わせに対応することが可能になります。
また、素材に対して変形や材質の変化をさせることがなく、気密性を得やすいというところで利点があります。
欠点としてあげられる点は耐熱性が他の方法より劣ること、データが不十分のため強度の信頼性に欠けること、接着剤塗布から固定までの時間がかかることです。
そこで、基本接着剤を用いた接合を行い部分的には溶接を行うなど、複合的な接合を行う工夫が行われます。

終わりに

以上で板金加工についての説明は終わりです。
まだまだ、触りしか触れられず実際の加工のポイントについては追えていません!
今後実際の現場の取材を行なって、現場の方にポイントを解説などしていただきたいと思います。

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