日本を舞台に日本製用具で金メダルを! 2020年目指すものづくり企業

製造業の基礎

日本を舞台に日本製用具で金メダルを! 2020年目指すものづくり企業

世界最大規模のスポーツの祭典「オリンピック」が、日本の東京で2020年に開催されます。
多くの日本人アスリートが主に東京を舞台にした戦いに出場し、自身の最高のパフォーマンスを披露したいと思っていることでしょう。

実はそんな思いを抱いているのは、アスリートだけではありません。
オリンピック・パラリンピック競技には道具を使用する競技が多数ありますが、選手たちが使用する用具の製作には、多くの日本のものづくり企業が関わっています。
ここでは、その一部の例をご紹介していきます。

国産カヌーで日本人選手に金メダルを! ものづくり企業の挑戦

「日本人の身体に合わせて作られた競技用の国産カヌーを作り、東京オリンピックで日本人選手に金メダルを!」という大きな夢を持って始められたのが、産学共同プロジェクト東洋大学 国際カヌー開発プロジェクトです。
2017年5月から始まったこの試みは、昨年8月に実験艇 水走~MITSUHA が完成。
現在はトップレベルの選手が本当に競技で使うことができるよう、さらなる実験が繰り返されていると思われます。

このプロジェクトに参加した企業が、CFRP・カーボン加工の 株式会社テックラボ (東京都多摩市)と、金属加工の 株式会社浜野製作所 (東京都墨田区)です。
競技自動車用のCFRP=強化繊維プラスチック部品の加工、製作を得意とするテックラボが船体設計と製作を担当。
浜野製作所がコクピットの製作を担当しました。

株式会社テックラボ

同社は、「CFRPの試作製作」、「研究開発」を支援するプロフェッショナル集団を自認する企業です。
特に競技用の車両製作やシャーシやウィングといったCFRPを使用する部品製作でレース、自動車業界に多数の納入実績を持っています。
このプロジェクトでは、主宰する東洋大学側の研究開発データを実際に設計に落とし込み、船体の製作を行うという重要な役割を担いました。

株式会社浜野製作所

同社は、精密板金加工やプレス加工、機械加工といった金属加工事業に始まり、開発・設計、生産、組み立てまでを請け負う金属加工のプロ集団です。
カヌーの開発では、コクピットの製作を担当しました。

また同社は、ものづくり企業のプロとして2014年にベンチャーインキュベーション施設 ガレージスミダ をオープンさせ、次世代車椅子のWHILLや台風発電チャレナジーなど、多数のベンチャー企業のものづくり支援を行なっている先進的な企業の1つです。
このプロジェクトがまさに本当の金メダルを勝ち取ることができたら、墨田区の町工場にまた1つ大きな功績が加わることになります。

プレーヤーと作り手が協力して車いすバスケットボール用の車いすを開発

大田区内の町工場が中心となってボブスレー用のそりを開発した、いわゆる 下町ボブスレー は、その顛末を含め様々な話題を呼びました。
それに続く大田区のプロジェクトとして注目されているのが、パラリンピック競技である車いす バスケットボール用の車いす の開発です。

このプロジェクトは、大田区、区内の中小企業群、そして岐阜県養老郡にある車いすメーカー、 松永製作所 が官民連携で取り組んでおり、一般社団法人日本車いすバスケットボール連盟も協力。
試作機のテストに都内の強豪車いすバスケチームの NO EXCUSE のメンバーが参加するなど、プレーヤーと作り手が協力しながら「勝利」を目指すという構図ができつつあります。

松永製作所の車いすは、すでに車いすバスケ日本代表選手や車いすテニスの選手が使用しており、スポーツタイプの車いすメーカーとしての実績は豊富に持ちます。
しかし、大田区の中小企業群はさらなる機能の向上を目指して、主にキャスター部分とクランプ部分の2か所の改良に取り組みました(参考: テクノプラザ 第277号

選手が車いすに求めるのは、さらなる軽量化、初速、伸び、転がり及び振動吸収(低ノイズ)性能などです。
そのため大田区の中小企業群は、キャスターの大幅な軽量化やローラーの材質を検討するなどして、1台につき最大300g以上の軽量化に成功しました。
さらには車いすに剛性感を求める選手のために、現行モデルと簡単に付け替え可能なクランプを短期間で開発し、選手からも高評価を得たそうです。

このモデルは今後も改良を重ね、2020年を目指していくとのこと。
パラリンピアンにとって、義足や車いすは用具というよりもはや身体の一部。
100分の1秒、あるいは1ミリの違いを出すために自らの身体を鍛えると同時に、義足や車いすにもその精度を求めます。
そんなギリギリの勝負の場に、ニッポンの町工場の職人技が生かされるとしたら、選手だけでなく職人の方にとっても名誉なことと言えます。
2020年の大会に、さらに新しい楽しみが生まれそうです。

このプロジェクトに参加したのは次の10社。
もちろんいずれの企業も大田区に本拠を置きます。

株式会社エース

創業44年を迎える精密部品加工を得意とする企業。
材料調達から特殊表面処理まで一貫した管理体制を確立し、鋳物から樹脂部品、製罐からゲージまであらゆる加工に対応する。

株式会社昭和製作所

1952年創業。
鉄鋼(超耐熱鋼を含む)・非鉄金属からセラミックやプラスチックも含む全工業材料について、破壊及び非破壊試験用のテストピースを最高の品質と短納期で製作する精密機械加工企業。

株式会社東新製作所

各種板金、製罐加工技術、溶接技術を駆使した立体構造物の製造を得意とする企業。
設計開発+試作+検証まで一貫対応。
最新の金属3Dプリンター導入で高精度な造形物をワンプロセスで出力できる。

日進工業株式会社

1963年創業。
プラスチック製品の射出成形・金型設計を主力とする研究開発型の企業として、様々な成形技術の開発と量産を行っている。
数々の独自技術を開発し、欧州にも拠点を置く先進企業の1つ。

株式会社マテリアル

アルミ材料販売とマシニング加工を主軸に汎用機加工、旋盤加工、複合旋盤加工などさまざまな加工を行う。
アルミ材料をはじめステンレス・銅・真鍮など常時120tの在庫を保有し、 受注から加工まで短納期での納品を行うことを可能としている。

シナノ産業株式会社

プラスチックを専門に切削加工を行う企業。
金型不要で、試作・単品から量産品まであらゆる加工を高品質・短納期で実施する。

株式会社ハタダ

精密工業用ゴム製品の製造・販売を行う。

株式会社カセダ

検査機器、測定器や福祉機器の設計・製造を行う。

株式会社エポゾール

主にディップ成形を通じて軟質樹脂製品の作成、加工を行う。

有限会社東京工房

軟質プラスチックシート高周波溶着による溶断加工、不織布縫製加工、梱包資材製造・販売を行う。

「下町ボブスレー」に参加していた企業も多数参加しており、地元の関係者からも、2020年に向けて大きな期待がかけられています。
開発した車いすは2018年中に製品として販売される予定です。

純国産アーチェリー弓具の復活に向けて

現在は外国製品しかないというアーチェリーの弓具。
この弓具の純国産化を目指すというプロジェクトが、2017年、東京都江戸川区のものづくり企業を中心に発足しています。
2020年の東京で、アーチェリーの日本代表選手がこの国産弓具を使用して大会に挑むことを目標に、挑戦は続いています。

プロジェクトの名称は プロジェクト 桜
ものづくり企業が区内に多数ある江戸川区が始めた Made in Edogawaものづくり推進プロジェクト の一環で、2020年東京オリンピック・パラリンピックを江戸川区から盛り上げようということで区内中小企業が結集しました。
地元企業が造った競技用具で日本人メダリストが誕生すれば、アーチェリーの普及も進み、さらに技術力も高くなれば関わった企業も大きくなる・・・そんな夢を応援するプロジェクトです。

このプロジェクトのリーダーを務めるのが、江戸川区の金属機械加工を得意とする 株式会社西川精機製作所 の西川喜久社長。
もともと趣味の延長でアーチェリーの弓具を製作していたそうですが、現在は地域振興の期待を担い、事業化を最終目標に取り組んでいます。
日本の技術で作られた日本人のためのアーチェリー弓具は、果たして2020年の東京を舞台に躍動できるのでしょうか。
今後の開発の成果に期待しましょう。

株式会社西川精機製作所

創業は1950年。
「下町ものづくりコンシェルジュ」を標榜し、精度の高さが求められる各種医科学および理化学器械をはじめ、各種部品等を製造している。
切削、成型、溶接といった各部門の組み合わせで、一括した製品加工が可能だ。

まとめ

もともとスポーツの世界では、サッカーボールやバレーボール、卓球やバドミントンのラケットなど、多くの日本製品が世界で愛用されてきました。
他の競技でも、メイドインジャパンの技術が日本人選手を金メダルに導くきっかけとなったのなら、その競技にとっても大きな進歩が期待できます。
選手が使用して結果を出していくには、これからも大変な努力が必要かもしれませんが、ぜひ参加したものづくり企業の皆さんの総力を結集して、大きな成果に結びつけてほしいと思います。

Fabitもその一助となれるよう、今後も製造業を盛り上げていきます。

Fabit編集部

Fabit編集部

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