工場密度No.1!東大阪市の製造業

製造業の基礎

工場密度No.1!東大阪市の製造業

サムネイル画像元:Wikipedia Lincun

国内ナンバー1の「ものづくりのまち」、東大阪市の製造業の特徴とは?

大阪市の東側にあるその名も 東大阪市
1967年に周辺市町村が合併して誕生した、大阪府の中では比較的新しい自治体です。
日本ラグビー界の聖地・花園ラグビー場があり、2019年のラグビーワールドカップの開催地でもあることから、ラグビーファンにはお馴染みの街と言えるのではないでしょうか。

その一方で東大阪市は、高度な技術力を持つ中小企業が多数集まり、独自の発展を遂げてきた「ものづくりのまち」として、日本中の工場関係者から知られている土地でもあります。
市内の工場密度は日本でダントツの1位!
市全体の製造品出荷額が1兆円を超える、日本でも有数の工場集積地です。
いったい東大阪市には、どんな製造業者がいるのでしょうか。
その特徴と代表的な工場を調べてみました。

東大阪市の製造業の特徴

平成20年の調査によると、東大阪市内のおよそ6,500の事業所のうち、もっとも割合が高いのが金属製品製造業で、全体の26%を占めます。
次に多いのが生産用機械器具製造業で14%。
以下、プラスチック製品製造業が11%で、印刷関連7%、汎用機械器具製造5%、その他製造業5%、電気機械器具製造4%、パルプ・紙、鉄鋼、繊維、家具・装備品、運送用機械器具、非鉄金属製造、食料品製造、化学工業と実に多種多様な業種の工場が集積しています。
そして、 従業員20人未満の工場がなんと全体の約9割を占める ことから、小さな工場がひしめきあう街の様子が浮かび上がります。

これらの企業は親会社など系列関係をほとんど持たず、取引の際には近隣の工場が協力体制を構築し、各々専門分野に特化して独自の技術を発展させています。
この構図は、東京都大田区の事例とよく似ています。(関連記事:世界的にも珍しい東京都大田区のものづくり)

さらに東大阪市の場合、その特徴を最大限にアピールし、地元経済を盛り上げていくために、事業協同組合を立ち上げて人工衛星の開発を始めるなどのプロジェクトも行うなど、非常にバイタリティ溢れる土地柄でもあります。
最近では東大阪市で生まれた製品を、東大阪ブランド認定製品として発信するといった活動も行っています。

このように東大阪市がものづくりのまちとして発展してきたのは、どのような背景があったのでしょうか。
東大阪市にある工場とともに紹介していきます。

東大阪市の製造業の源流:伸線

さて、東大阪市がものづくりのまちとして発展してきた背景には、 江戸時代に生じた3つの産業の源流までさかのぼる と言われます。(ものづくりの最適環境・東大阪)
なかでも、「生駒川の河川で水車を利用した動力源により盛んに」(同)なったという伸線業は、現在の東大阪市でもっとも多い金属製品製造業へと通じる源流となったことは間違いありません。

伸線とは要するに針金のこと で、その用途としてそのまま針金や釘、金網などに使用され、そこからボルトやナット、リベットといった線材二次産業分野へと発展していったそうです。

ナミテイ株式会社

当サイトFabitにおいて、 伸線 という言葉で検索すると2番手に現れるのが、東大阪市にあるナミテイ株式会社様です。
1945年に当地で伸線工場として発足した同社は、戦後復興に必要だった釘の製造から始まり、現在は世界中に張り巡らされた光海底ケーブル用異形線をはじめ、あらゆる異形伸線、異形圧延、さらにはその切断、圧延、切削、転造等による部品製造までを手掛けています。
2007年には 東大阪ものづくり大賞 金賞 を受賞。
東大阪市を代表する高い技術力を持つ鉄・非鉄金属加工工場の1つと言えます。

東大阪市の製造業の源流:鋳物

古くは 河内鋳物師 (かわちいもじ/平安時代に河内国丹南郡=現在の堺市近辺を本拠にしていた金属鋳造の技術者集団)の時代から受け継がれてきた鋳物工業も、東大阪市に早くから根を張り、発展していった製造業の1つと言われます。

当初は農工具や釜などが鋳造されていましたが、その後工業化の発展とともに 造船や機械、軍需産業の部品生産地として発達し、その後行程に必要な切削や研磨といった加工業も発達しました。
第二次大戦後は自動車や家電製品の生産量が増えるにつれ、その部品生産を担っていたのが東大阪市の工場群だったわけですね。

辰己屋金属株式会社

創業83年の同社は、商社部門と加工部門の両方の顔を持つ非鉄金属のエキスパート企業です。
加工部門では、切削加工、パイプ加工、パイプ曲げ加工を得意としており、様々な素材で高精度かつ高品質の機械部品を納入しています。
スリッターラインを3基設置しており、社内在庫があれば即納にも対応できるスピード感は、同社ならではのものと言えましょう。

中辻金型工業株式会社

こちらの会社は、鋳造ではなくプレス金型の製作や加工を得意とする金属加工業者です。
ものづくりには欠かせない金型製作を、3Dプリント等の最新の技術を含む「技」で実現しています。
試作から量産まで可能な設備を擁しており、金属加工に関するあらゆる相談に応じている、ものづくりにこだわりを持った東大阪市の町工場と言えます。

東大阪市の製造業の源流:木綿産業の衰退から新たな産業へ

東大阪市周辺は、江戸時代より 河内木綿の一大産地 として知られていました。
しかし、明治時代に入ると近代紡績工業が発展し、合わせて外国の木綿糸が使われるようになると多くの綿作農家が職を失うことになります。
そこで彼らは大阪に出て新たな技術を学び、再び地元で新たな産業を興していきます。
金網加工に始まり、バリカン製造(理器製造)、歯ブラシの植毛、ボタンの穴あけ、撚糸業など がそれにあたります。
時代の変化の波に押しつぶされることなく、新たな産業を創生し転換してきたバイタリティの高さ は、現在でも東大阪市の多くの工場に引き継がれているのではないでしょうか。

株式会社ロブテックス

同社の創業は1888年。
明治21年にバリカンの製造から始まり、20世紀に入ると日本一の規模を誇る工場で理髪用バリカンを生産するようになったそうです。
まさに、東大阪市の歴史を引き継ぐ老舗企業です。
昭和に入り、モンキレンチの製造を始めた同社は、

やがて国産初の全型打鍛造を成功させ、工具業界に確固たるポジションを確立。
以後、次々と展開する作業工具、省力工具、ダイヤモンド工具、そして電設油圧工具や配管工具など、工具全般をカバーする「ロブスター」ブランドは、絶大な信頼を得るまでに至りました

同社の会社沿革より抜粋
ものづくり企業にとって欠かせない工具メーカーである同社もまた、ものづくりへの情熱を携えて成長してきた製造業者なのです。

まとめ

多くの工場が立ち並び、金属加工業を中心に、様々なモノが日々生産されている東大阪市。
その多くは戦後の復興期から続いている工場が多いようですが、なかには明治の時代から製造技術を発展させ、ブランドをつくりあげた企業もありました。
商業の街、大阪にほど近い場所にあることから、何かを作り出せば売ることができるという考え方を多くの人が持っており、こうして多くの企業が集積していったのかもしれません。

ちなみに、中心となるのは金属製品製造業ですが、東大阪市にはそれ以外にも様々なものづくり企業が集まっています。
市内にこだわらず、その周辺にまで範囲を広げたら、ありとあらゆる製造物を作り出すことができそうです。

なお東大阪市の製造業者を探すには、市が運営するこちらのサイト「東大阪市技術交流プラザ」が便利です。
ユーザー登録や会費も不要で、うまく見つからないときには、経験豊富な コーディネーター が手助けをしてくれるという、非常に便利なサイトとなっています。
特に試作品や試験的な小ロットの製作物を作りたいという課題を抱えている方は、ぜひ一度ご利用してみてはいかがでしょうか。

Fabit編集部

Fabit編集部

Fabitは、「日本一わかりやすい製造業紹介メディア」です。
当メディアは製造業にスポットライトを当てて、今まで交わることのなかった工場と工場、工場とヒトが交わることにより、新しいイノベーションの芽が生まれることを目指しています。

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