こんにちは!なんとか重工の「ケロ」です。
ドリルは金属、木材、コンクリート、岩盤などに穴をあけるものがありますが
この記事では 金属の切削加工におけるドリル を現場で実際に使っている職人として取り上げていきたいと思います。
切削加工 では多種多様な刃物を使いますが、ドリルは最も基本的な刃物として扱われています。
単に穴を開けるだけと思われがちなドリルですが、ドリルに対して様々な要求があり、
その要求に答えるためにドリルもまた沢山の種類があります。
最も一般的なものはホームセンターにも売っている
ハイスのツイストドリルです。
引用: 株式会社不二越様
ドリルといえばこの形が定番です。
ハイス というのはドリルそのものの材種(素材)で、 ツイスト というのは形状(種類)を表しています。
ドリルの材種(素材)について
一般的なドリルの材種には大まかに ハイス と 超硬 があり、そこからさらに細かく分別された材種があります。
表面処理によって切削性や耐久性を上げるためにコーティングされたものもあります。
ハイスと超硬では 価格面で大きな差があり 、超硬素材の刃物はとても高価です。
超硬素材が使われるのは性能面で大きなアドバンテージがあるからです。
その性能とは、
硬さ と 耐熱温度 です。
超硬はハイスよりも硬く、高い温度に耐えることができます。
なぜ硬さが必要なのか?
ドリルによる穴あけは一般的に穴をあける対象の素材の硬さよりも、
ドリル素材には3倍の硬さが必要とされています。
そのため、ハイスより硬い超硬のほうが、硬い金属素材に対して有利に加工できます。
なぜ耐熱温度が高いほうがいいのか?
切削加工中は刃先にとても高い加工熱が加わります。
この熱によってドリルの素材が柔らかくなったり、最悪、溶けてしまうので耐熱温度は高いほうがいいです。
この差によって超硬は硬いものに穴を開けたり、速いスピードで加工を行うことができます。
ただ、超硬はハイスに比べて脆いため、折れやすいと言う欠点があります。
ハイスのほうが靭性があるとも言えます。
ドリルの形状(種類)
ツイストドリル
ツイストドリルはいかにもドリルといった感じですね。
棒の側面にねじれた溝がほられたものをいいます。
このタイプのものは刃先が摩耗、欠損した場合には再研磨をして 刃を研ぎ直すことで再度使用する ことができます。
再研磨の選択肢は手研ぎや、工具研磨機で研ぐ、工具研磨業者に依頼するなどがあります。
また、ハイス製のドリルも超硬製のドリルも無垢材から作られていることが多いです。
素材が高価なことだけでなく、加工の面で超硬をドリルに加工する方が難しいため、ハイスドリルよりも超硬ドリルのほうがより高価になっています。
同じサイズで 10倍以上の価格差がつく ことも珍しくありません。
超硬素材が高価なため、先端の刃先部分にのみ超硬をロウ付けした 超硬ロウ付けドリル というものもあります。
スローアウェイドリル
チップと呼ばれる刃先を交換することができるドリルです。
チップの材種は主に超硬にコーティングがされたものが使われており、
チップを交換するだけでとても簡単に新品の刃先に交換できます。
ツイストドリルのように再研磨の必要がありません。
ドリルが研げて一人前?
機械加工者とドリル研ぎの技能でした。
今は、先に説明したスローアウェイドリルの登場や、
工具研磨屋さん(ドリルやエンドミルを研いでくれる業者)があるため、
若い世代の加工者は手研ぎでのドリル研ぎをマスターしていないことが多いです。
また、自社で工具研磨機を購入して、社内で研磨をする会社さんも多いです。
時間をかけて、手研ぎの技能を習得するよりも工具研磨屋さんに再研磨を依頼したり、性能の高い工具(いい工具は仕事が早い!)を購入して、
すばやく沢山の仕事をこなすのが最近の加工屋では主流の考え方です。
新しいものを取り入れていくことで仕事が楽に、早くなるので
私はドリルに限らず、工具選びはとても楽しいです。
なので、メーカーさんからの新製品カタログは真剣に見てしまいます(笑)
今回は切削加工で使うドリルについてまとめてみました!
以上、なんとか重工の「ケロ」でした!